タイには激辛の料理がありますが、タイ料理の半分くらいは辛くない料理です。
炒飯や、豚足煮込みなど、唐辛子を全く使わない料理と、蟹カレーや空芯菜炒めなどの唐辛子は入っているものの、辛さをあまり感じない料理があります。
今回は、辛い料理が苦手な人でも食べられる、タイの辛くない料理をご紹介いたします。
目次
辛くないタイ料理が生まれた理由
19世紀になると、唐辛子や胡椒をたっぷり使った激辛料理を食べていたタイ王国に中国南部の人達が移り住むようになりました。
中華系移民の人達は、家庭で毎日、中華料理を食べていましたが、その中に屋台や食堂を開く人達も出てきました。
外食産業の全くない土地に中華系移民が店を出し、最初は中国の人だけをお客としていましたが、タイの人も食べに来るようになり、バンコク市内で広まり、中華料理はタイの地に根付いていったのです。
中華系タイ料理はどんな味付け?
中華系タイ料理は、唐辛子が全く入っていないか、入っていてもあまり辛くない、大型の赤唐辛子を色付けのように使っているのが特徴です。
味付けに醤油と魚から作った魚醤「ナンプラー」を入れ、野菜を多く使います。
古くからタイでは、野菜の栽培をほとんどせず、家の周りに生えているハーブを摘んで料理をしていましたが、中華系移民の人達は、大根や白菜、キャベツといった野菜を中心に野菜栽培をして、料理に使っており、そこに大きな違いがあります。
タイでは、唐辛子がタイに渡って来て以来、辛い味付けが好まれ、唐辛子を多用する料理がタイ全土に広がっていました。
辛い料理が苦手な中華系移民の人達は、麺や炒飯、煮物、野菜炒めなどを食べており、タイ料理と融合したものもあれば、そのまま中華テイストで残った料理もあります。
中華系移民の人が開いた食堂では、中華料理と、中華系タイ料理を用意し、それが現在、タイの富裕層や観光客が利用する辛さ控え目な高級タイ料理レストランの味になっています。
少し辛めの料理でも、タイの人達が普段家庭で食べている辛い料理と、辛さのレベルが違い、高級タイ料理レストランでは、タイ料理の雰囲気を残しつつ、味付けに関しては辛さを控えめにしたマイルドな味付けです。
辛くないタイ料理
カオパット
ナンプラーと塩、胡椒で味付けされた、タイ風炒飯です。
具はエビやシーフードが基本で、パラパラのタイ米が美味しく食べられる料理です。
仕上げにライムを絞って、酸味を加えます。
クイッティアオ・ガイ・ ナムサイ
中国から伝わった米の麺を使った、タイ風ラーメンです。
極細麺、細麺、太麺があり、醤油ベースのすましスープが一番人気です。
その他、トムヤムスープや紅腐乳スープ、ハーブのスープなどがあります。
タイの人達にこよなく愛されている料理です。
パッタイ
クイッティアオ(米の麺)を使った甘酸っぱい味のタイ風焼きそばです。
具だくさんで、エビ、卵の他に、砕いたピーナッツや生のもやしと、細ねぎなどの野菜が添えられ、甘みと爽やかな酸味があり観光客にも大人気です。
タイスキ
野菜、肉、魚などの具材をスープを注いだ鍋で煮て食べるタイ風寄せ鍋です。
辛いシーフードダレもありますが、ごまダレや、ナンプラーとニンニクダレなどバリエーション豊富です。
1人の時でも気軽に食べられる、春雨が入った、1人用のタイスキ「スキーナーム」という料理もあります。
プーパッポンカリー
カニをカレーパウダーで炒め、卵でとじたものです。
蟹とふわふわの卵が絶妙な組み合わせで、蟹好きにはたまらないマイルドでコクのある味わいがあります。
ピリ辛ですが、ココナッツミルクも使われており、食べやすい味付けです。
カオマンガイ
中国南部(海南島)生まれの料理で、鶏のだし汁で炊いたご飯に、茹でた鶏肉を乗せたものです。
ぷるぷるジューシーな鶏肉にタレをつけて食べますが、唐辛子ダレ、にんにくダレ、生姜ダレ、黒醤油ダレなど、店ごとに様々な種類のタレがあります。
カオカームー
中華風豚足煮込みです。
シナモンや八角など中華スパイスが効いたスープで豚足、ホルモン、ゆで卵などをじっくり煮込んだ料理です。
甘じょっぱく、柔らかい肉の食感が絶妙。
優しい味付けで、辛いタイ料理をお休みしたい時におすすめです。
ペットヤーン
中華風ローストダックです。
レモングラスや八角など数種類のハーブや香辛料で味付けされたアヒル肉は柔らかですが、弾力があり、ご飯や麺と良く合います。
味噌ダレがかかっているお店もあります。
カイジャーオ・ムーサップ
たっぷりの油で揚げ焼きにした、豚挽肉入りタイ風卵焼きです。
カリッとした食感が楽しめ、ケチャップやチリソースをつけて食べます。
見た目は地味ですが、焦げ目の付いた卵焼きは香ばしく、中はふわふわでとても美味しい料理です。
カオトム
中華風おかゆです。
鶏肉、豚肉、魚、野菜を入れたものなどがあり、具の種類も豊富で、タイでは朝食として食べられています。
具だくさんですので、雑炊のような豪華さです。
クン・オップ・ウンセン
海老と春雨の蒸し物です。
春雨が主役のパクチーの根や、生姜、ニンニク、豚バラ、エビなどが入った料理です。
ベースはオイスターソースですが、店によって様々な具材を入れ、春雨の下にエビやパクチーの根など具材が隠れています。
パップンファイデーン
空芯菜の中華味噌炒めです。
中華系タイ料理の代表です。
ニンニク、唐辛子を入れ、炎が上がるほどの強火でさっと炒められた空芯菜は、シャキシャキした歯ごたえが楽しめます。
大豆の粒が入っているタオチオソース(中華味噌)で味つけされ、しょっぱい中にもほんのり甘みがあり、癖になる美味しさです。
パット・パッカーナ・ムークローブ
カイラン菜とクリスピーポーク炒めです。
カイラン菜と脂身の多い豚肉をカリカリに揚げた野菜炒めは、ニンニクで味付けされ、シンプルで美味しい中華系の定番料理です。
辛くないタイ料理も人気
いかがでしたか?
辛くないタイ料理はまだまだたくさんありますが、代表的なものをご紹介いたしました。
あまりタイらしさを感じられないかもしれませんが、これらの料理はとても人気があります。
辛くなく、胃に優しいので、辛い料理と組み合わせて注文し、バランスを取ったりするのに良いかもしれません。
素材を活かしたシンプルな味付けから、ハーブがふんだんに使われたものまでありますので、新しい味に出会えると思います。