タイの仏教は、日本の仏教と伝来のルートが異なる為、同じ仏教といっても、寺院の建築様式も信仰する神々の姿も全く違います。
ヒンドゥー教の影響を強く受けているタイ仏教の神々は、寺院や街中で、色彩豊かで神々しい姿で祀られています。
外見は異なるものの、日本と共通して信仰されている神様も多くいらっしゃいますので、今回は、日タイ共通で信仰されている神様をご紹介したいと思います。
目次
ヴィシュヌ神(毘紐天)
神鳥「ガルーダ」に乗った神様が、ヒンドゥー教の守護神「ヴィシュヌ神」です。
4本の腕に武器を持ち、悪がはびこり、世の中が乱れた時に、様々な化身に姿を変えて人々を守り、幸福をもたらす神と言われています。
日本では「毘紐天」(びちゅうてん)になります。
ガルーダ(迦楼羅)
「ガルーダ」は三世、宇宙、世界を飛ぶ「ヴィシュヌ神」が乗る聖なる神鳥。同時に「ヴィシュヌ神」の化身の1つでもあり、スコータイ王朝の時代からタイを守ってきた最上の神とされています。
「ガルーダ」はタイ王室の紋章であり、王室の施設には必ずこの紋章が使われています。
日本では仏教を守護する八部衆の1人「迦楼羅」(かるら)です。
ブラーマ神(梵天)
「ブラーマ神」は正義の鬼「ヤック」の親であり、商売繁盛の神として尊敬される、ヒンドゥー教の創造の神。
四方を見渡せるように4つの顔と8本の手を持ち、バンコクで一番人気の祠 「エラワン・プーム」に祀られており、絶えず参拝者が訪れています。
日本では「梵天」となり、悟りを開いた釈迦に、自信を持つよう勇気づけた神と言われ、「天」が付く仏の中で最高位の神とされています。
ヤック(夜叉)
「ヤック」は毘沙門天の配下にあると言われる、鬼の姿をした魔除けの守護神で、ヒンドゥー教の「ヤクシャ」にあたります。
日本では「夜叉」と呼ばれ、人を食う恐ろしい鬼を指す場合が多いのですが、タイでは身を呈して王を守る正義の味方として人気が高く、「ワット・プラケオ」「ワット・アルン」では猿神「モック」と共に、門番や、仏塔の基壇を支え、寺院全体を守護する魔除けの役目を担っています。
モック(桃太郎の猿)
「モック」はタイ仏教で最も有名な神話「ラーマキエン」に登場する正義の猿神。
主人公ラーマ王の忠実な部下で、その姿は山のように巨大で、肌は金色に輝き無敵の力を誇り、「ヤック」と共にラーマ王を悪魔から守った国民的英雄です。
「ワット・プラケオ」では回廊にあるタイの古典文学「ラーマキエン」の物語を表した大壁画に描かれ、「ワット・アルン」では仏塔の基壇を支えています。
西遊記の「孫悟空」のモデルで、日本では「桃太郎の猿」に当たるという説があります。
シン(狛犬)
「シン」は「ワット・プラケオ」の本堂などの入り口を守る「狛犬」のような守り神。
神話に登場するライオンで、タイの有名なビール「シンハービール」のラベルでもおなじみの「シン」は、琉球王国に渡って「シーサー」に、中国から日本本土に渡って「獅子」、そして魔除けの「狛犬」になったのではないかと言われています。
ナーク(蛇神・龍神)
「ナーク」は水を操る蛇神や龍神。
仏教伝来以前の精霊信仰の時代から存在した神で、悟りを開く為、座禅を組む釈迦を雨から守ったという伝説から、仏教で悟りを得た人の守護神となり、仏教と結び付きました。
寺院だけでなく、タイ北部では土地霊として家屋に宿ると言われています。
寺院の屋根に見られる尖った飾りはナークを型どったもので、日本でも昔は蛇のことを「ナガ」と呼んでいました。
最後に
いかがでしたか?
日本でも信仰されている神々が、バンコク市内や王宮周辺に祀られています。
色彩豊かで美しい神々の姿を是非その目でご覧になり、ご利益を頂きましょう!